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日本におけるフレンチスタイルの導入について

昔の日本のフレンチスタイルの輸入の仕方は不自然なところがあったと思います。ランスロの弟子が比較的多かったせいか、フランス式=ランスロっぽいスタイル、というイメージが昔はありました。なんか音がイマイチだよなあ、とか思っても、えらい先生が言うんだからなあ、とか、私以外でもそう思っていた人が多かったのではないでしょうか?それはベーム式よりもエーラー式のほうが音が良いのだという、偏見を生んだ一つの原因だと思っています。(まあ、一部あってるような気もしますが、でもベーム式にはベーム式の美しさがあって、システムの比較はあまり意味がないと思っています。)
ランスロは偉大なプレーヤーですが、フランスを代表する人か?というと、結構特殊なんではないかと思います。高音域に独特の癖があり、ビブラートも何か変です(昔、ちりめんビブラートと呼んでいた)。ところがランスロより一世代前のカユザックの録音を聞いてみると、音が多少違います。音は若干太いです。フランスの音は細くて繊細であるというのは、必ずしもあてはまらない。また、ランスロより一世代前のペリエの録音が残されてます(ふるーい)が、カユザックよりはランスロに近いですが、高音域に癖はなく、ビブラートもほとんど使いません。(もちろんドプリュも全然違います。)ランスロは少し過大評価されていた(過去形)と、私は思います。その理由は、LP録音が出始める時期とぴったりあって登場し、ランパルのようなスターと一緒になって仕事したんで、目立ってしまったのではないでしょうか?フランスにはカユザックような人もいたのだということは、忘れてはいけないと思います(まあ、カユザックは20世紀フランスの最大のプレーヤーの一人だから当然と言えば当然だけど)。
今、ランスロのような音で吹きたいって人はほとんどいないと思います。もう、世界のクラリネットのスタイルは変わってしまいました。日本の今のプレーヤーはすっかりインターナショナルになって昔のようなことは本当になくなりました。(でも、ランスロもうまいけど・・・この辺はプレーヤー紹介にて。)


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