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マスネ:歌劇「ル・シッド」よりバレエ音楽

1/27のOFJ定期演奏会のパンフレットのために作成した解説です。校正で少し変更になるかもしれませんが…

ジュール・エミール・フレデリック・マスネ(1842-1912)は、ヴァイオリンの独奏曲「タイスの瞑想曲」の作曲家として有名ですが、彼の一番の活躍の場はオペラでした。「マノン」「ウェルテル」「タイス」は、現在でもオペラハウスの重要なレパートリーになっており、生涯で30曲以上のオペラを作曲しています。早熟だったマスネは、11歳でパリ国立高等音楽院に入学し、20歳のときにローマ大賞を受賞、20台で既にチャイコフスキーなどと並ぶ賞賛を得て、36歳からはパリ国立高等音楽院の教授として、多くの後継者を育てました。マスネの音楽的な特徴は、「タイスの瞑想曲」にもその一端が示されていますが、甘く美しいメロディーにあり、その能力は、オペラの中でいかんなく発揮されています。また、管弦楽のための組曲(「絵のような風景」、「劇的風景」、「アルザスの風景」など)も、親しみやすいメロディーを持った名曲として、オーケストラの演奏会や、編曲されて吹奏楽によっても盛んに演奏されています。マスネの音楽は、フランス音楽の歴史的な観点から見ると、ドビュッシーやラヴェルといった近代の進歩的な作曲家に対して、やや古めかしいと現代では考えられているかもしれません。しかし、この「ル・シッド」のバレエ音楽に見られる、美しいメロディー、エキゾチックな異国趣味、木管のソロを大胆に使用する独創的な手法など、作曲家としての能力の高さを示すだけでなく、ビゼーが切り開いた華やかで美しいフランス音楽から、ドビュッシー・ラヴェルの成熟した巧妙なフランス音楽への橋渡しをしているというようにも考えられるのではないでしょうか。

「ル・シッド」は、日本では通常「エル・シド」と呼ばれている11世紀の実在の人物を描いた、フランスの劇作家コルネイユの同名の悲劇が元になっている、ヒロイックでロマンティックなオペラです。我々は、バレエ音楽というとチャイコフスキーの「白鳥の湖」に代表される、最初から最後までバレエとして演じられる作品を想像しがちですが、19世紀前半にパリで流行したグランド・オペラという演奏形態では、大規模なオーケストラ編成・豪華な舞台衣装・スペクタクル的な舞台効果という特徴に加え、バレエを曲中に含むことが多く、この曲もオペラの第二幕第二場冒頭で演じられるバレエを単独の管弦楽曲として取り上げたものとなります。スペイン人でパリ・オペラ座のトップ・スターとなったロジータ・マウリを想定して書かれており、彼女の発案によりスペインの様々な地域に根ざすような、興味深いリズムや旋律が盛り込まれています。以下の7曲から構成されています。

第1曲:カスティリャーナ(カスティリアの踊り):カスタネット入りの華やかな舞曲

第2曲:アンダルーサ(アンダルシアの踊り):ゆったりした優雅な舞曲

第3曲:アラゴネーサ(アラゴンの踊り):躍動感溢れる舞曲

第4曲:オーバード(朝の歌):軽快な曲

第5曲:カタルーニャ(カタロニアの踊り):異国情緒溢れる舞曲

第6曲:マドレーナ(マドリードの踊り):フルートとコール・アングレの長大なソロが印象的な曲

第7曲:ナヴァレーサ(ナヴァラの踊り):華やかな終曲

@gg_szk


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