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米金融機関のボーナスへの課税はいかがなものか

米ボーナス課税法案が波紋 規制嫌う業界、人材流出懸念

金融業界からは「大衆受けを狙った金融・金持ちバッシング」との不満が出ている。

そうだが、自分もそう思う。以前に決めた契約を反故にするような、国家の介入というのはいかがなものか。元々、ボーナス支払いを前提とした賃金体系になっていたのだろう。こんなことをしてもモチベーション低下・モラルハザード・人材流出を招くだけだ。大体、今のような事態を招いたのは、金融機関だけが悪いのか?国・FRBの監督責任があるのではないか?オバマ政権は、基本的にニューディール的な介入主義のようだが、アメリカの自由の文化に馴染む物ではない。きっと失敗するだろう。

自由主義の聖書

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

ミルトン・フリードマン

日経BP社


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を読んでみました。この本が1960年代に書かれたのは驚きです。現代そのままですし、米国の問題が書かれていますが、だいたい日本にも同じことが言えます。

政府が市場に介入することは、最小限であるべきである、という強い自由主義思想に貫かれています。政府が介入して良いことはほとんどないと。大抵、間違いを犯すと。高速道路・ダム・人工衛星・教育を例外としてあげていますが、その他は基本、民間・市場にまかせるべきとしています。

結構刺激的な政策があります。医師免許の廃止・企業の社会的責任の否定・法人税廃止・所得税の税率一律化、等。

40年たっても古さを失っていないのはすごいことです。難解なところはなく、自由「賛歌」とも言うべき魅力的な本です。

さて、オバマ政権はこれとは全く反対方向に行こうとしています。かなり失敗が懸念されます。しかし、失敗する前に国内で相当な抵抗をうけるような気もします。アメリカに根付く自由のカルチャと、オバマの政策は相容れないと思います。

長銀破綻をもう一度見直す

セイビング・ザ・サン—リップルウッドと新生銀行の誕生

ジリアン テット

日本経済新聞社


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とてもおもしろく一気に読んでしまいました。著者は日本経済について非常に良く理解していて、今の目から見ても古くありません。長銀を通じてバブルの発生と崩壊を、そして、新生銀行を通じて金融庁の姿勢や外資参入の顛末を、非常に生々しく描いています。200を超えるインタビューに基づいており、スタンスも中立的であり説得力があると思います。

果たして、このころ(2002年ごろ)に比べて、日本の金融・経済は進歩したのか???。相変わらず問題を先送りする体質は変わっていないのではないか・・・。

amazonによると、現在、新刊は手に入らないようです(自分は図書館から借りた)が、中古は安く手に入るようです。

大前研一の楽観的な見解

大前研一なんて・・・という方もいらっしゃると思いますが、結構、参考になる情報もあったりするので、自分はとりあえずSAFETY JAPAN(BPnet)の記事をチェックしてます。

「産業突然死」の時代の人生論
第158回 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(1)
経営コンサルタント 大前 研一氏
(もしかして会員登録が必要かもしれません)

そこでわたしは提案したい。世界経済において日本がリーダーシップを発揮してはどうだろうか、と。日本の経済がこれほどまでよいのだから、世界へ出て行って助けてやる。日本はまだそういうことさえできる力を持っている。

日本の場合、ファンダメンタルは悪くはない。

へ・・・。日本を支えていた2大輸出産業が、電機産業に続いて、自動車産業も壊滅し、日本の産業は総倒れになろうとしているんじゃなかったっけ・・・。

ユーロは現在、非常に安い。理由は空売りである。ヘッジファンドが痛手を被っていてユーロぐらいしかもうかるものがないということで空売りを行っている。

うーん。ユーロって今まで過大評価されてて適正な価格に戻っているのではないのかな・・・。

日本発の金融危機が広がるのを防げたのは、国による資金注入よりも、国民が低金利を甘受して捻出し負担した資金によるところが大きい。他国ではあり得ないような状況である。

低金利の負担は事実だけど、金融危機脱出は遅れに遅れた不良債権処理を何とかやりとげたからではないのかな・・・。

この記事自体のテーマはちょっと違うところにあるので、揚げ足取り感もありますが、何か日本に対する危機感がもう一つ不足してないかな。自分は経済に関しては完全にトーシロなので、何とも言えないのですが・・・。

野口悠紀雄の悲観的な見解

世界経済危機 日本の罪と罰

野口 悠紀雄

ダイヤモンド社


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最近は森永卓郎などの市場否定主義者(否定は言い過ぎかな消極主義者)が、発言力を増していて、マスコミに出ては「それみたことか」と騒いでいます。自分はこれには納得できないので、その対極の位置にある、エコノミスト野口悠紀雄の見解が出るのを待っていました。本が発売になったので、すぐに購入して読んでみました。

それは、かなり悲観的なものでした。基本的な主張は、これまでの極端な円安政策によってもたらされた円安が異常な状態であって、それが円キャリートレード→アメリカへの投資→アメリカの赤字拡大→日本車が売れる→・・・という投機的循環のバブルがはじけたというものです。これまでの円は適正な価格よりも大幅に低く設定されていた。それが、既存の非効率な輸出産業を温存する結果になってしまった。世界的な経済の破綻は日本に大きな責任があるという考えです。日本はアメリカに対して、貸し倒れをしたような状況になっていて、その損失は既に数十兆円にも上る。これは財務部門が弱かった(知恵がなかった)ためで自業自得だと指摘しています。不況の影響は、米国以上に日本に打撃を与えるであろうと予測しています。

輸出依存の産業構造を変革しない限り、日本の産業が発展することはないとしています。これは、物作りを重視する森永に対立するものです。また、一次産物(原油・食料等)の価格上昇に対して、自給率向上のオピニオンはナンセンスで、食料の輸入の自由化を主張しています。円高の状態でも成立するビジネスモデルを構築する必要があると。

IT・金融等での国際競争力の必要性も言われています。

あっという間に読めましたが(内容はわかりやすい)、状況は自分が考えていたよりもはるかに深刻という印象を受けました。どちらかというと自分は現在保護されている側にいる人間なので、その自分に何ができるか、というのをきちんと考えないといけないと思いました・・・。

バブル検証3部作読み終わる

岩波書店のバブル検証の3部作をやっと読み終わりました。経済暗雲はここで紹介したので、残りの2つはこれです。

検証経済失政—誰が、何を、なぜ間違えたか

軽部 謙介,西野 智彦

岩波書店


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検証 経済迷走—なぜ危機が続くのか

西野 智彦

岩波書店


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バブル崩壊からの金融危機の裏側を知るのにはなかなかおもしろい作品です。大蔵省・日銀・政府がそれぞれの思惑を持って行動したのですが、不運もあり、日本の金融は弱体化し、大蔵省の力もなくなり、日本の構造自体が変わっていきます。その場面が登場人物の口で語られます。

アメリカは日本の金融危機を反面教師として、今の危機を切り抜けようとしているらしいです。はたしてどのように進んでいくのでしょうか・・・。

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