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神への挑戦

消えた反物質—素粒子物理が解く宇宙進化の謎 (ブルーバックス)

小林 誠

講談社


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小林氏がノーベル賞をとってから、急速に売れた本。自分も流行に乗って読んでみました。・・・わからない。これはちょっと難しいです。量子力学の素養がある程度ないとわからないんじゃないかなあ。自分は大学で関数解析の授業もとってたから、分かって当然のはずなのですが・・・。ゲージ理論とか代数の人はやってた記憶がある。でも、自分が比較的新しい(全然最新じゃない)物理を知らないことに驚きました。まず反粒子というものを知らない。例えば、電子に対して、同じ質量を持ち、電荷が反対な、陽電子というのが存在して、電子と衝突すると光子となる・・・(ディラック(懐かしい名前)が1920年代に予言して1930年代に存在が確認された)。そういうものがあるとなると、宇宙がなぜほとんど物質からできていて、反物質からできていないのか、という根本的な疑問に到達する。そうしたことを電子よりももっと根源的な物質であるクォーク(名前くらいは知ってた)から考えて、数学的なモデルを作って、対称性の破れという上記の宇宙の成り立ちにつながる現象を説明した・・・というのが小林氏らの貢献でした(意外と古いのですね)。よくわからなくてもすごいことはわかる。これは、もう神に対する挑戦と思ってしまいます。「もの」に対する認識が根本的に変わってしまう。哲学や宗教やってる人は、こういった事実を知ってないと、やっていけないのではないかと。量子力学くらいまでは結構ポピュラーになってきてると思いますが、まだまだ先があるのですね・・・。

ちなみに図書館で借りたのですが、第三版2008年10月20日発行でした。新しくてびっくり。ノーベル賞受賞後リクエストで入ったんでしょうね。


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