自分が先日の演奏会で生で聴いたきたメシアンは以下です(昨日の全集に含まれている)。
20 Regards Sur l’Enfant Jesus Musidisc このアイテムの詳細を見る |
ムラロのメシアンのスタイルはこれまでのどの演奏者とも違うと思ったのですが、生ではただただ圧倒されてあまり分析できませんでした。CDが手に入ったので少し分析してみました。比較対象は以下の過去のベロフの名演です。
20 Regards Sur L’enfant-jesus Beroff Rouge Et Noir(emi)* |
ムラロのメシアンは大変に感情移入が激しい、ロマンチックなものです。例えば、音の空白部分で結構大きな間を作って、ためたりします(これは生で聴くと結構効く)。それに比べるとベロフは、ややドライでかっちりしてます。あまり大げさなことはやりません。
自分が思いついたのは、こういう図式です。
ムラロ→スクリャービン
ベロフ→バルトーク
ムラロを聴いて思い出したのは、アシュケナージのスクリャービンでした。複雑な和音やパッセージを美音で華麗に演奏します。ロマンチックです。グールドによるスクリャービンの曲の構造模型のような演奏とは対照的です。(今までメシアンをスクリャービン的であると思ったことはないけど、ニコ動のコメントにはあった。あとムラロは美音というほどではない。)
ベロフはバルトーク的だと思いました。切れ味するどいカノン等が印象的です。実際、彼はバルトークも得意なレパートリーにしています(それに対して、ムラロのスクリャービンはない)。
というように、この2つの演奏は、メシアンの持つ2つの側面をそれぞれ表しているのでした。両方ともに、甲乙つけがたいものですが、自分は実演で実際に聴いたムラロを今は選んでしまうかな・・・。ちなみに、ロマンチック感は(音は悪いけど)DVD盤があるので、そちらのほうが伝わります。間のときの表情やしぐさとかがわかるから。