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自由の原点:アダム・スミス

アダム・スミス—『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)

堂目 卓生

中央公論新社


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道徳感情論に結構な量が割かれている。アダム・スミスというと「見えざる手」という言葉が一人歩きしていて、弱肉強食の市場主義者というイメージが強いが、道徳感情論で主張されているのは、モラルの大事さである。経済的な自由はモラルの裏付けがあって、初めて万人に対して豊かさをもたらすのだ。低いモラルを持ったものが、搾取したり、規制することによって利益を得ようとすることを、本当の豊かさに繋がらないとして、彼は否定した。国富論が書かれたのは、1775年前後、アメリカ独立戦争のころだ。植民地主義全盛の中、彼は囲い込み経済を否定し、自由な貿易が豊かさをもたらすことを説いた。彼の理想は未だ実現していない。しかし、その理念は200年以上経つ今でも色あせることはない。


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