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愛国者が語るフランス革命史

フランス革命史〈上〉 (中公文庫)

ジュール ミシュレ

中央公論新社


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先日紹介したイギリスのバークの本と真逆の本である。人民による革命の意義を称えている。バークへの反論も中にある。この上巻は、1789年の三部会招集から、1792年のヴァルミの勝利までなので、国王の国外脱出失敗は入っているが、国王の処刑は入っていない。この本を読む限りでは、フランス革命は明治維新とは非常に対照的に感じられる。明治維新は、基本(社会的ではなく知的)エリートによるトップダウンな革命だろう。フランス革命はボトムアップ・人民主導で、指導者が何か煮えきらない感じで、そのときの空気に右往左往させられているように見える。民主的なものの原点なのかもしれないが、復讐に次ぐ復讐で、衆愚政治の原点でもあると思う。そんな様子を著者は、基本肯定的に描いている。フランス革命で起こったことを一通り知ることができる上では価値があるが、客観的な歴史記述とは言い難く、なぜこのエピソードにそんなにページを割くのか、と感じるような所もある。


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