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グレートの大変さについて

先日の演奏会では,グレートの1stをやったわけだが,とても大変だった.しかし,なぜ大変かも何となくわかったので記録しておく.グレートのクラリネットは鬼門だな〜と昔から思っていた.いろいろ録音聴いてもあまり良いと思うことが少なかったし(そんな中で,ケルテス+ウィーンとセル+クリーブランドはかなり良かった).

グレートのクラリネットがイマイチ美しい感じにならない理由は,大きく2つあって・・・

1.パワーが要求される

自分は,グレートはバランスの取りにくい曲だと思う.Trbが多用されるのも困ったものだし,木管が埋もれやすいところが結構ある.かなり頑張って吹かなきゃいけないし,アクセントやfpが多く使われるのもイヤ.そして,柔らかく吹かなきゃいけないところできちんと切り替えができない結果になることが多い.自分は結局アシスタントつけたが,アマチュアでやるならこの曲は倍管でやったほうが良いのではと思った.しかし,このことは割りと明らかなこと.

2.実音Eの音が多用されること

これは実際やってみて気づいたこと.練習のときに,指導の先生に「グレートはミが多い曲だよね」と言われて,確かにそうだなと思った.大事なところでミの音が多用される.しかし,ミというのはベーム式クラリネットの欠点であり,音が極めて開きやすい(エーラー式ならこの問題は多分ない).この問題は,C管を使うことにより回避は可能だが,C管を使うことにより生じる問題も出てくるから,なかなか難しい.自分は2楽章までB管を使ったから(持ち替えのピッチ問題が解決できなかった),さらにこの問題は深刻だった・・・

最後に持ち替えの問題にふれとく.楽譜指定は,1,3,4楽章がCで,2楽章がAである.最近の流行は指定どおりにやることで,オリジナル楽器なら当然そうだろうし(推定だが),N響の最近の演奏でもそうしていたようだった.自分は,C管が嫌いな人間なので,最近の流行は受け入れがたく,C管の演奏を聴くたびにB管でやれば良いのにと思うことがほとんどである.ただし,C管を使えば上記2の問題は解決されるし,ピッチ的にも合わせやすくはなるの「かも」しれない.で,C管を持たない素人は,B管を使うことになるのだが,2楽章への持ち替えがかなりシビアである.2楽章の冒頭でパーフェクトにObと合わせなきゃいけないのだが,これが素人にはなかなか難しい.よくある失敗が,1楽章でガリガリ吹いて2楽章の冒頭を迎えると,Obのピッチが上がっていて,持ち替えでピッチが上がり切らないClが追いつかなくなるケースである.自分は,A管がややフラット気味ということもあって,なかなかうまくいかなくて,結局B管で全部通すことにした(この判断には中プロでBass Clをやらなきゃいけないことも大きく影響した).これは苦渋の選択である.これによって,2楽章においても上記2の問題を抱えてしまう.#系となるので,音色的に明るくなりすぎてしまうし,A管でやれば何でもないことが,いろいろ難しくなってしまう.ちなみにB管の楽譜はネットに転がっていて容易に入手できるから,そうする人もいるのだろう.しかし,CDで聴く限りではB管でやっている例はないと思う.これは今回の演奏会で悔いが残る点である.


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