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シャブリエ:田園組曲

昔書いた解説シリーズ。20171月のOFJ第三回定期演奏会でのシャブリエ:田園組曲の解説になります。

シャブリエは、1841年にフランス中南部のオーヴェルニュ地方のアンベールに生まれた。幼いころから音楽の才能を発揮したものの、父親の強い勧めもあり、40歳近くまで内務省に就職し公務員としての仕事をしながら、フォーレ等の作曲家と親交を持ち作曲活動を続けた。アマチュアのオーケストラや吹奏楽でもよく演奏される、狂詩曲「スペイン」の作曲家として知られているが、後世のフランス音楽に与えた影響は大きく、ラヴェルも影響を受けた作曲家として、モーツァルト等に加えてシャブリエの名を挙げており、「シャブリエ風に」というピアノ作品も残している。

この田園組曲は、1880年に作曲されたピアノ曲「10の絵画風商品」の中の4曲を1888年に自分自身でオーケストレーションした作品である。この1880年とはシャブリエが、ワーグナーの歌劇「トリスタンとイゾルデ」にミュンヘンで接した年であり、そこで強い印象を受け、プロの作曲家として生きる道を選んだた言われている。この頃は、ワーグナーの音楽がヨーロッパを席巻し、絶大な影響力を持っていた時代であり、フランスもその例外ではなかった。そんな時代に、この田園組曲には、美しくわかりやすい旋律や、イマジネーション豊かな和声、新鮮な驚きや詩情に満ちあふれており、シャブリエの音楽の個性が存分に発揮され、19世紀後半のフランスにおけるドイツ音楽の覇権を打ち破る端緒を開いたと言ってもよいであろう。曲は、プーランクに作曲家になる決心をさせたと言われる美しい「牧歌」から始まり、クラリネットの印象的な旋律で開始される鮮やかな「村の踊り」、後のドビュッシーの音楽を思い起こさせるような繊細な「森のなかで」と続き、「スケルツォ・ヴァルス」によって華々しく締めくくられる。木管楽器の美しさや機動力を存分に発揮させた佳曲でもある。(@gg_szk


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