シェヘラザードのクラリネット→David Shifrin?
シェヘラザードネタで一つ思い出したので記録。(私の敬愛するクラリネット奏者である)David Shifrinが クリーブランドで主席をやっていたのは、よく知らないのだけど、あまり長い期間ではないはずなので、彼の吹いた(オケでの)ソロを見つけるのはなかなか難しい。上のCDはその一つではないかと睨んでいるものである。このどこか軟弱でマイペースな感じはきっと彼であるに違いない。でもかなり美しいクラリネットです。3楽章のスケールとかすごいですね・・・(まあ、クリーブランドのクラリネットはいつの時代もすごいのではありますが・・・)
シェヘラザードの全体の演奏としては、悪くはないが、あまり色気がなく、やや殺伐としたものになっている(テンポ早め)。
チョン・ミュンフンのシェヘラザード
“Scheherazade / Firebird Suite” (Dg Imports)
シェヘラザードを目的に購入。指揮者の明確な指針と、トレーニングされたオーケストラと、バランスのとれた録音と、三拍子そろった好演。シェヘラザードは名曲の割には、意外にあまり良い録音がないと思っていたので(ロストロは派手すぎ・カラヤンはやや雑?・ストコフスキーは録音と木管に難が・・・等等)、貴重だと思う。火の鳥は元々名演が多い曲なので、わざわざこれを聞くこともないとは思うが、これはこれでおもしろい。バランスよくまとまっている感じ。
チョン・ミュンフンは、「通な」人から見れば、深みがないとか言うのかもしれないが、このようなちゃんとした演奏を提供してくれるのは、(アマチュア演奏家な)我々にとってとてもありがたい。録音はいわゆる「作った音」という感じである。ライブが主流の最近の録音では、こういうものはほとんどないと思う。しかし、自分は(カラヤン時代から進歩を重ねた)こういう作った音がとても好きなのである。
音が良くなるグリスの謎を解け!
The Clarinet Shopで購入。音が良くなるという、かなり怪しいコルクグリスです。ですが、試してみるとあら不思議、本当に音の抜けが良くなります。使用する箇所によって、効果に差があります。自分の試した感じでは、マウスピースに近いからといって効果が大きいわけではなく、最初に試したベルの接合部の印象が大きかったでした。
最初はとても不思議だったのですが、後で少し考えて自分なりの仮説を立ててみました。このグリスは粘り気があるのが特徴です。おそらく、その粘り気によって、接合部の接触面積を増やす効果があるのではないかと推測されます。コンピュータのCPUとファンの間に使う、シリコングリスのようなイメージです。あれも粘り気のある材質で金属間の接触面積を増やし放熱効果を上げています。グリス自体に音があるわけではなくて、接合部の接触を増やし、振動の伝達を改善しているのではないかと。
そのように考えると、やはり、楽器というのは分けちゃいけない、ということを痛感します。接合部は我々が思っているよりも、より重要なのかもしれません。これは根拠がありそうなので、そのうち同じ効果を狙った製品が、他社から製品化されるのではないかと予想しています(この製品自体は偶然の産物らしい)。
上の仮説が正しいとすると、例えば、(隙間を埋める効果を持つような)接着剤で接合部を固めてしまえば、一本で作ったのと似たような鳴りになるかもしれません。実験できないけど・・・
ヤルヴィのベト1
“ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第1番” (ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン ヤルヴィ(パーヴォ))
割と新しい録音(2006)。ピリオドの成果を利用した最近流行りの感じの演奏。ティンパニ・ラッパはオリジナル楽器であるが、その他はモダン楽器である。テンポは小気味良く、サクサク進む。重みのある演奏を好む人には向かないが、こういう演奏が最近の主流だろう。2曲の中では1番のほうが良いように思えた。5番は今ひとつ新鮮な感じはしなかった。クラリネットは、ハーディングのブラームス ほどは魅力的ではない。多分同じ人だとは思うが、おそらく楽譜指定通りにC管で吹いているのであろう。C管ではどうしても音が明るすぎてしまう。曲想に合うということなのだろうが、自分はどうもC管の音は苦手である。オリジナル重視の考え方には学ぶべきものがあるが、自分はB管でモダンに吹くほうが好みである。録音はまあまあだがあまり良いとも思わなかった(SACDでは聞いていない)。最近のライブ録音を良いと思うことは自分には少ない。
マウスピースを変えた
ここ で買ったB40 profileを使い始めた。このところ、ずっとリードが合わないのと、音が抜ける感じになることに悩まされ続けていた(大量にリードを買ってた)。そこでちょっと思いついてマウスピースを変えてみたら、少し状況が改善したので、しばらく続けるつもり。もしかしたらマウスピースが寿命だったのかもしれない。過去を振り返ると、マウスピースを変える時期は、同じような現象に会っていた気がする。リードがあわなくなって仕方なくマウスピースを変えるという・・・。ただ、マウスピースの寿命にしては若干早い気はする。2006年のJAO宮崎大会のちょっと前くらいに今のM30を使い始めたので、まだ5年そこそこである。マウスピースにスワブ通すのやめたほうがいいかな・・・
小説「ノルウェーの森」
映画を見て興味を持ったノルウェーの森を読んでみた。自分はおもしろいと思った。映画で感じたような不可解さはなく、賛否両論ある部分もあるとは思うが、ちゃんとした小説だった。映画は原作から逸脱しないようにしていることがわかったが、大事な部分が抜けているような気がする。
映画の最大の問題は、「レイコさん」をちゃんと描けていないことではなかろうか。原作では、非常に重要な人物なのに、映画ではかなり描写が省略されている。だから、例えば、ラストのくだりがとても不自然に感じる(原作でも微妙だとは思うが)。
映画がDVD化されたら、もう一度ちゃんと確認してみよう。疑問点が多少解決するかもしれない。あれをまた全部見るのかと思うと少しつらい気もしないでもないけど。
戸塚オケ定演修了
無事に終了しました。来ていただいた皆様ありがとうございました。
個人的な反省としては、リードがイマイチあってなくて音が抜ける感じになってました。もうちょっとがんばって(選んで)もよかったかもしれない・・・。悲劇的の最後のソロ(ソリ)はさすがに慎重に行き過ぎたかもしれなかった。さりげなく、すっと入るつもりだったけれども、微妙な感じになってしまった。上のBの音はイマイチあたらないし・・・。まあでも大過なく終わったのでとりあえず良しとするか・・・(妥協しちゃいけないけど)
次回出番:戸塚区民オーケストラ定演
戸塚オケでのデビュー戦になります。悲劇的と大祝の1stを吹きます。
戸塚区民オーケストラ第23回定期演奏会
日時:2011年(平成23年)2月20日(日)13:30開場、14:00開演
会場:鎌倉芸術館大ホール(JR大船駅より徒歩約10分)
入場料:1000円
指揮:井﨑正浩(戸塚区民オーケストラ常任指揮者)
曲目:~オール・ブラームス・プログラム~
交響曲第3番ヘ長調 作品90
悲劇的序曲 作品81
大学祝典序曲 作品80
Signatureのバレル長の謎
自分の持っているSignatureには64mmと65mmのバレルが付いていたから、64mmがA管で65mmがB管だと思い込んでいて、そう使っていた。しかし、最近のセルマーのカタログには、なぜか両方ともに63mmと書いてある。これは不思議である。長さが違うし、両方とも同じというのも疑問だ。PrivilegeはA・B共通と主張しているが、Signatureではそんなこともなかった気がする。もしかして音程設計が変わったのだろうか(考えづらいが)。
まず、楽器を試奏したついでにアクタスのお姉さんに聞いてみた。理由はわからなかったが、わざわざ実際の楽器を確認してくれた。それでB管は63mmと65mmが付属していることがわかった。これでさらに疑問が増えてしまった。普通、ピッチの差を吸収するために2本つけるときは、1mm差という場合が多い。なぜ2mmという大きな差になっているのか?
次に、本家のセルマー・パリのホームページを調べてみた。そこで何となくの自分の仮説が立てられた(本当のところは、関内にいる野中の技術部隊に聞けばいいんだろうけど)。
そこでわかった驚くべき?事実は、SignatureのB管には442と440の2種類の楽器があり、A管は441のピッチなのだ(それを知らなかった自分もどうかと思うが)。ここで一つツッコむと、A管を441の1種類しか用意しないセルマーは手抜きだろう。最上位機種にコスト削減持ち込んでどうすると思う(こんなだからPrivilege作ったんだろうけど)。
そこでバレル長はこうなっている。
- 440(B) : 62.5mm・64.5mm
- 442(B) : 63mm・65mm
- 441(A) : 63mm・65mm
自分の仮説は、441のA管は、63mm->442、65mm->440という組み合わせが想定されているのではないか?ということである。A管とB管を違うピッチで吹くことはありえないのだから。自分の楽器は442だが、65で442になっているように思える。A管は64mmでも低いという感じは持っていたから、その感覚と上の仮説は近い。442のB管と441のA管を買って、65mmをB管で、63mmをA管でという使い方が標準的なのではなかろうか。ピッチ低めのアメリカでは、440のB管と441を65mmで使うのだろう。
で、自分の楽器を振り返ると、なぜ63mmではなく、64mmが入っていたのか?が問題になる(謎)。しかも、自分は最近ずっと64.5mm(Backun)で吹いていたのだ。これでは442にピッチが合うわけがない・・・ということで、近いうちに63mmのBackunのバレルを買いに行こうと思う。
Privilegeを試した
自分はセルマー吹きで、Signatureを使っているのだが、セルマーの現在の最高機種となるPrivilegeをアクタスで試奏してきた。試奏したのはB管で2本用意してくれた。
反応の良い普通に良い楽器だと思った。Signatureは(個体差はあるが)、若干重い(抵抗感のある)楽器で、ちょっと丸みのある感じの音がする。セルマーのカタログによれば、管の厚みのあるRecitalに似せた設計だという話だ(自分が試奏した感じではSignatureとRecitalが似ているとは思えなかったが)。Privilegeにはそういう「セルマーくささ」のようなものがない。反応よく、すっと音が出て、その質も悪くない(prestige・festivalと同じか+αくらいのイメージ)。Toscaキラーとして設計されたのだろう。それを実現しているかどうかは、Toscaをちょっとしか吹いたことがないのでわからないが、比較する選択肢にはなりえると思う(安ければこれでいいだろうって人はいるかも)。
Signatureは(これも個体差あるが)、音程に難がある。あるリペアには、オクターブが狭いという言い方をされたが、例えば、High C近辺が低めになる。ただ、これはクランポンに比較しての話である(慣れである程度修正できるし、どちらが正しいという話でもないのかもしれない)。クランポンに慣れているととまどう。それに対して、Privilegeはクランポンに近い音程設計がされているようだ。チューニングメーターで確認したが、ごく普通で優等生的である。
吹いて困ったのは、レジスターキーの形が特殊で、押しやすくなっている反面、普通に今までの調子で吹くとすぐひっかかってしまうことだ。でも、これは慣れれば合理的なのかもしれない。
これを買うか?と考えるとちょっと難しい。劇的な良さはないので、どうしてもほしいという感じにはならない。また、Signatureとは大分違う楽器なので、B管とA管を同時に変えないとかなり苦労しそうである。となると金銭的に厳しい。でも、次の楽器の候補にはなりそうだ。また、そのうちToscaもちゃんと試してみようと思う。