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ブーレーズの幻想(1996)

“ベルリオーズ:幻想交響曲” (ブーレーズ(ピエール), クリーヴランド管弦楽団合唱団)

このCDはかなりヘンである。それは録音・演奏の両方でである。まず、録音からいくと、音は美しくとれているが、広がりに欠けている。これは、同じ組み合わせの、春の祭典の録音にかなり近い。あの録音も非常に不思議な感じで、ホールっぽさがあまりなく、普段聞こえないパートが聞こえることが多かった。作った感じの録音は昔からあったが、こういう感じはあまりなかったと思う。

次に、演奏についてだが、おそらくこの演奏で満足するターゲットはかなり狭い。普通の幻想を望む人からすれば、出だしの弦の貧相さで萎えてしまうだろう。また、ブーレーズのファンは、ブーレーズはダメになったという感じでとらえるだろう。ロンドン響との録音にあるような、冷たい美しさは、ここでは聞かれない。4・5楽章は何かはぐらかすように、普通な感じである。

しかし、自分はこの演奏の3楽章が妙に気に入ってしまった。うまく説明できないのだが、雰囲気がしみじみとして良いのである(そういうとすべての演奏がそうかもしれないが)。木管がうまく録れていることもあるのかもしれない。

クラリネットの観点からすると、この演奏はかなり良い。Hrを含む木管セクションのアンサンブルの質が高い。例えば、1楽章前半の木管を、これだけちゃんとやっている演奏は、最近いろいろ聞いた中でなかったと思う。しかし、冷静に考えてみると、現代のトップオケは皆これくらいはやるのかもしれない。ラトル・ベルリンあたりも聞いたほうがよいのかもしれない。

EsのソロはかなりEsっぽくなく(?)やっている。これまで、やたらとキャンキャンする演奏が多くて辟易していたので、こういうアプローチもあるのだなと安心した。ベーレンライターのパターンだったので楽譜もおそらくそうであると思われる。


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