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日本の農地はなくなる

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

神門 善久

NTT出版


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本ブログのテーマをどんどん逸脱していきますが、印象に残ったのでレビューを・・・。

現在、農家がリッチになり、不動産屋さん的になっているというのは、何となく、マスコミ等を通じて感じていたことです。この本では、その現実と裏にある政治的な問題の本質を突くものです。

現代の農業が非効率な零細農家からなり、効率的な大規模な農家に移行していかない最大の原因は、農家が農地を転用売却することによるキャピタルゲインを期待していることにある。土地を農地として保有し、国の助成を受けて、農地的価値をあげて(=道路等も整備されるので、商業的価値もあがる。また、税負担も削減される)、そして農地以外の用途に売り切る、というのが零細農家の狙いである。一番、損をしているのは、真面目に農業のことを考えて、効率的な大規模農業をやろうとしている先進的農家である。この転売の仕組みを保護するために、JA・農水省・財界・マスコミ等がつるんで問題を先送りしている。このままでは日本の農地はなくなるだろう。しかし、この問題の本質には、市民が土地利用の問題に関して人(行政)任せにしている無責任主義がある。根本的解決には、日本人にとって非常に苦手な市民の協議による都市・土地計画を行うことが必要である。・・・ざっとまとめるとこういうような主張です。

ちょっと私の説明ではうまく伝わらないと思いますが、衝撃的な本です。300ページくらいですが、あっというまに読み終わりました。問題は深刻ですが、問題の質は極めて複雑で、難しいと感じました。また、マスコミによる安易な行政批判へのコントロールが指摘されています。その本質を見破るのは、(我々のような)普通の人には結構難しいと思いました。

こういう観点で書かれた本は少ないそうです。意見が政治的圧力でつぶされるからです。
是非、多くの人に読んでいただいて、問題意識を共有し、日本の農業を救いたいと感じました。


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