フランス革命史〈下〉 (中公文庫) ジュール ミシュレ 中央公論新社 このアイテムの詳細を見る |
先日紹介したミシュレのフランス革命史の後半である。ルイ16世の処刑から、ロベスピエールの死までが書かれている。この後半の方が(血なまぐさいが)おもしろい。フランス革命がロベスピエールの独裁に至ったのは、仕方ないところがあるのがわかる。革命の混乱に乗じて周辺諸国が干渉してきて、多面作戦をとらざるを得ず、強力な指導力が求められたのだろう。明治維新において、欧米の干渉を受けなかった日本は幸運だった。軍隊を整備する時間を取ることができた。もし南北戦争がなかったら、日本の運命は違うものになっていたかもしれない。ロベスピエールに対する著者の感情は複雑だ。その独裁は責められるべきであるが、彼は革命には不可欠な存在で、革命の思想を体現している・・・という見方ではないかと思う。過度な賛美もしていないが、軽蔑もしていない。ある程度距離を置いて見られているのではないか。しかし、フランス革命の歴史的な意味というのは評価が難しい。