読んでいない本について堂々と語る方法 ピエール・バイヤール 筑摩書房 このアイテムの詳細を見る |
本を語るには本を読んではいけない・・・という逆説がテーマの本。この皮肉な感じがフランス人っぽい。しかし、この本は読書の本質を伝えてくれるものだ。まず、単純な事実として、我々は読みたい本をすべて読むことはできない。本の量は膨大だ。また、本を読んだ、という事実はあやういところがある。本の内容はどんどん忘却してしまうし、人により読み方により吸収できることは様々だ。著者は、過去の様々な例(漱石もある)を引いて、本を読むこと自体よりも、読者の内面世界の進化こそが大事であり、「本は完読しなければならない」等のタブーから自由になるべき、と説いている。世界的なベストセラーで、興味深い本だ。