世界の10大オーケストラと行っても、その選択は「有名な」「上手な」という観点だけではなく、この本のテーマの一つであるカラヤンに関係するオーケストラが選ばれている。この選択は悪くはない。例えば、ロンドン響はないが、フィルハーモニアはある。普通に実力を考えれば、ロンドン響だろう。しかし、エピソードを考えるとフィルハーモニアのほうがおもしろい。この本が主に描く第二次世界大戦前後のころは、オーケストラ力学という意味ではかなりおもしろかった時代だろう。現代はそれに比べれば平和だ。エピソードはいろいろとおもしろく、それなりに楽しく読めるが基本的には二次情報で、大きな発見はない。クラシック好きの薀蓄という感じもある。
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