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作者アーカイブ: ggszk

移民漂流

移民環流—南米から帰ってくる日系人たち

杉山 春

新潮社


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移民問題は関心があるところなので、読んでみた。主にブラジル移民の問題である。かつて戦前・戦後に日本からブラジルへ大量に移民があった、しかし、1990年代になりブラジル経済が悪化し、日本の移民法の改正もあり、ブラジルから日本への出稼ぎが増加した。それには日系人も含まれる。日本に来ればブラジルに比べれば稼ぐことはできるが、様々な問題を招いている。少年就業・いじめ・文化の差・教育・犯罪・等等。しかし、この本は、個別事例をセンセーショナルにあげるにすぎず、移民問題において何が本当の問題なのかが、伝わってこない。

パレスチナ文学:カナファーニー

ハイファに戻って/太陽の男たち

ガッサーン カナファーニー

河出書房新社


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アラブの文学に少しケチを付けたけれども、それでもアラブ文学を一つ何か読んでみようと思った。あの本は、あまりガイド的ではないので、何を読めばいいのか良く分からない。結局amazonのレビューも参考にして、パレスチナ文学であるカナファーニーの短編・中編集を読んでみた。この中では、「太陽の男たち」が傑作だと思った。パレスチナからクウェートへ密出国する話である。とても苦い話だ。また、「路傍の菓子パン」も良い。廃墟で苦しい生活を送る少年と教師の話だ。皆、戦争と侵略という過酷な現実が背景にあるが、それを単に告発するのではなく、その中で起こる様々な矛盾や悲しみを浮き彫りにする。文学として十分にすぐれていると思う。しかし、こんな(かなり深刻な)話をエアコンの効いた部屋で、ソファーに横になって読んでいる自分ってどうよ・・・という気分にはなる。といって、行動するほどの意志もないし、行動すれば良いというものでもないし。

ドビュッシーが苦手

フォーレ賛・マスネ賛に関連して・・・
自分は実はドビュッシーが少し苦手である。高校の恩師からは、ペレアスを聴け、と言われたが、あまりピンと来なかった。海はやったけれども、それほどおもしろいとは思わなかった(自分の役割がとても断片的になってるからかもしれないが)。
ドビュッシーの音楽は、一般には印象派の絵画のように美しいと考えられている。それは確かにそうなのだが、彼の音楽は、相当に革新的であるように思う。
自分は基本的にアバンギャルド(?)な感じの音楽は好きである。ヴァレーズ・ストラヴィンスキー・シュトックハウゼン・クセナキス等。しかし、自分が感じるアバンギャルドな作曲家の中で、ドビュッシーとウェーベルンは少し苦手である。ドビュッシーよりはラベルのほうが好きだし、ウェーベルンよりはベルクが好きだ。多分、どこかが少し保守的なんだろう。
・・・と思ったら、名曲探偵アマデウスで月の光が取り上げられていた。色々と解説されていて参考になった。
音楽の本質とは色とリズムを持った時間である by ドビュッシー
だそうです。うーん・・・

マスネ賛

以前、フォーレ賛をやったけれども、自分は同じフランスのマスネも嫌いじゃない。メシアンをこよなく愛するような私が、これらの古いタイプの作曲者も好む理由は良く分からない。7/26に演奏するのは、
マスネ 組曲第4番「絵のような風景」(ニコ動・著作権クリアかは定かではない)
である。ちょっと調べてみたら、CDもあまり多く出ていないし、世の中ではそれほど知られている曲ではないのかもしれない。しかし、アマチュアとしては取り組みやすい曲で、アマオケの中プロでは定番として使われるし、吹奏楽編曲もしばしば演奏される。
3曲目のAngelusは名曲だ。これは夕べの鐘などと訳されるが、Angelus(ラテン語)=Angel(英語)でカトリックのお祈りのことを指している。ミレーの名画「晩鐘」の原名は「The Angelus」で、夕暮れのお祈りの鐘(Angelus Bell)を聴いているのである。
美しい旋律が特徴のマスネらしい曲だ。はてさてうまくいくでしょうか・・・

不干斎ハビアン

不干斎ハビアン—神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)

釈 徹宗

新潮社


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不干斎ハビアンとは、1600年前後に生きた宗教家で、禅宗からスタートし、キリシタンの論客として名をはせ、後に棄教して反キリシタンとなった人物である。彼の書いた「妙貞問答」は、キリシタン擁護の書であるが、仏教・儒教・神道・キリスト教の比較宗教論になっている。この時期の日本でこれだけのことを書けたのは画期的だろう。しかし、著者は少しハビアンへの思い入れが強く、肯定的にとらえているが、自分がその引用から少しだけのぞいた感じでは、あまり深い議論とは思えない。キリシタンのバイアスがかかっている分析ではないだろうか。人物としては興味深く、山本七平などの日本研究者も取り上げている。

次回の出番(第616回横響定期演奏会)

青少年のための音楽会 第616回定期演奏会
【サマーコンサート】
1. モーツァルトヘのオマージュ イベール
2. 組曲第4番「絵のような風景」 マスネ
3. ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 ブルッフ
4. 交響曲第6番 ヘ長調「田園」 ベートーヴェン
管弦楽:横浜交響楽団
指揮:甲賀 一宏
ヴァイオリン:菊野 凛太郎
日時:平成21年7月26日(日) 開場/午後1時15分 開演/午後2時
会場:神奈川県立音楽堂 JR・市営地下鉄「桜木町」駅から徒歩10分
入場料:1,000円(全自由席)
次回の出番は、イベール・マスネの1stと田園の2ndです。よろしくお願いします。

ベトナム戦争小説

戦争の悲しみ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-6)

バオ・ニン

河出書房新社


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先日紹介した残雪と同じ本に入っていたので読んでみた。日本も戦争では大変だったと思うが、ベトナムは言わば沖縄戦が全国に拡大したようなもので、しかも、同じ民族を二分して戦い、独立闘争のころも含めればトータルで50年近くもかかった壮絶なものだった。著者は北側の人間である。話は、歴戦を生き抜いた戦士から作家になったキエンが自分の過去を自由に振り返るというものである。非常に自由に書かれていて、話はぽんぽんと飛ぶ。一番重要な、初恋の相手であるフォンとのエピソードが、最後のほうで明らかになる。切ない話だ。戦争を厳しい目でとらえた戦争文学の傑作である。

第615回定演:ビゼー「カルメン組曲」アルカラの竜騎兵より

アルカラはファゴットの曲だと言えるだろうが、またもや冒頭のメロディをクラリネットが再現する。この演奏では、ちょっと発音が甘くなったように思う。特に最初のほうがはっきりしない。
このソロには、管の選択問題がある。楽譜ではB管で書かれているが、B管だとトリルの指(fis-gis)がちょっとやりにくい。昔、初めてやったときに、どうしようと悩んでいたら、「これは普通A管で吹くんだよ」とオケの先輩が教えてくれた。今回もA管でやった。楽譜を写すのが面倒だったので、読み替えで吹いたけれども、練習で何度も間違った(情けない)・・・本番は間違えなかった。

第615回定演:ビゼー「カルメン組曲」間奏曲より

カルメン組曲は管楽器の出番は多いが、クラリネットにもそれなりに活躍の場は与えられている。間奏曲はフルートの曲と言えるだろうが、クラリネットは冒頭のフルートのテーマを受け継いで、フルートと美しい二重奏を奏でる。
さて、この曲をやるのは吹奏楽も含めると、4回目になる。2回目の録音が残っていて、それと比較してみたが、今回のほうが、荒め・ややダイナミック、前回は、丁寧・ドライという感じだった。あまり年輪を重ねたという感じの演奏ではないのは残念だ。
このフレーズのブレスについて。このソロは休符がちゃんと途中に入っていて、そこで息をとればもつように出来ている。しかし、リードが厚めになるとこれが間に合わなくなる。また、クレッシェンドを早くしすぎても息が足りなくなる。そうすると頂点近くでブレスをとることになってみっともない。きちんとしたブレスコントロールが要求される。

木五によるピアソラ

(Wind Quintet)estaciones Portena、Tango Ballet、Etc Ma'alot Quintet (Wind Quintet)estaciones Portena、Tango Ballet、Etc Ma’alot Quintet
販売元:HMVジャパン
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何となくピアソラがやりたくなって衝動的に買ってしまった。しかし、残念ながら、このメンバーによる編曲であり、一般に出版はされていないようだ。ちょっと調べた限りでは、ピアソラの木管五重奏編曲は楽譜が出ていないようだ。
さて、この演奏だが、編曲も悪くないし、演奏も優れていると思う。クラリネットは活躍する(自分で編曲しているからかもしれない)。ただ、ピアソラというともっと定番の曲があったような気もする。自分はすべて初めて聴いた曲だった(自分がピアソラ知らないだけだと思うけど)。

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