マイヤー vs. フックス
ニールセン/Flute Concerto Clarinet Concerto Wind Quintet: Pahud(Fl) S.meyer(Cl) Rattle / Bpo Baborak(Hr 販売元:HMVジャパン HMVジャパンで詳細を確認する |
ベルリン・フィル因縁の対決?・・・とは言っても、別に直接対決ではない。
ザビーネ・マイヤーは若い頃にベルリン・フィルとトラブルを起こして(というか受け入れられなくて)、入団できなかった・・・という話は有名だ。しかし、今はこんなCDがある。マイヤーがソロを吹き、ベルリン・フィルが伴奏する。加えて、パユらベルリン・フィルの木管トップメンバーと木管五重奏までやっちゃう。ベルリン・フィルはマイヤーを受け入れられるようになったのだろうか?しかし、こうなると、主席であるフックスくんの立場がないではないか・・・。フックスはベルリン・フィルと協奏曲入れてたかな?・・・思いつかない。自分は、マイヤーの実力は認めるところだが、何となく話題作りを狙ったCDにも思える。演奏は普通に良いです。
EXIがWikipediaに掲載された
XMLのバイナリ圧縮(符号化)に関するW3C標準(現在Working Draft Last Call)であるEXIのWikipediaページがやっとできた。
ご参考まで
贈与税減税は骨抜きになった
リンク: ばら撒くよりも、カネを動かせ:「贈与税改正」発案者が語る.
私も贈与税減税には懸念の投稿をしたが、結局骨抜きになってしまった。住宅に限って500万円への生前贈与の税控除枠拡大となった。これは全く無意味な政策だ。なぜなら、住宅取得に関しては既に「相続時精算課税制度」があるからだ(平成21年12月31日までの時限制度)。これは、住宅目的の生前贈与に対して、贈与税の3500万円の特別控除があり、それを相続時に相続税の計算に加算させることができるものだ。だから、500万円の枠がなくても3500万までは実質、生前贈与できるのだ。総理の顔を立てるために一応入れたということか。
現在、相続税の基礎控除は、5000万円+1000万円×法定相続人の数だ。それを考えれば、自分もこの人が言うように3500万円くらい生前贈与させることは、許されるのではないかと思う(それがいやなら、相続時精算の使い道を拡大してもいいし)。金持ちに対する減税という批判は、正当ではない。相続に関する制度を知らない人によるものだ。相続税逃れを許すのは望ましくないが、生前の所得移転はある程度認めてもよいはずだ。
こういうポピュリズム的な反応で、政策が実行されないのは、懸念される政治状況だと言って良いであろう(ただし、贈与税減税・生前贈与枠拡大に対しては、その枠が小さすぎて景気対策として意味がない、という批判はあり、自分もそれには同意する。)
カラヤン「英雄の生涯」聞き比べ
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』、『死と変容』 カラヤン&ベルリン・フィル 輸入盤 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
シュトラウス(リヒャルト) / 『英雄の生涯』 カラヤン&ベルリン・フィル(1974)(HQCD) 販売元:HMV Yahoo!店 HMV Yahoo!店で詳細を確認する |
また、カラヤンのシュトラウスを取り上げてみよう。自分はR.シュトラウスの最高傑作は、英雄の生涯ではないかと思っている(オペラはサロメ以外知らない)。カラヤン・ベルリンフィルは、この曲を自分の知る限り3回録音しているが、代表的な録音は、1974年・1985年のこの2つであろう。この2つのどちらをとるかというのは、議論が分かれるところである。それはなぜか・・・。1974年の演奏が、録音に大きく失敗しているのだ。クレッシェンドすると音が割れまくる。快適な録音で聞きたいならば、1985年かもしれない。しかし、私はそれでも1974年の演奏を最高と考える。アンサンブルの精度が高い。「英雄の敵」の木管アンサンブルは特筆すべきだ。オーボエが神がかっている。また、ラストのホルンはザイフェルト最高の演奏の一つと言えるのではないだろうか。泣かせる演奏だ。
ちなみにクラリネットについては、1985年のほうが良いと思うが、元々それほどクラリネットが活躍する曲ではないから、聞き所は多くない。あと、両方ともEs管クラリネットは最悪に近い。ベルリンのクラリネットの最大の弱点は、Es管だろう。誰が吹いているのか知らないが、がっかりだ。ちなみにブーレーズのダフニスもEs管のせいで思いっきり興ざめだ。
上記の1974年版は、HQCD(高音質CD)だ。私は普通のCDでしか聞いていない。果たして、HQCDになることによって、録音は改善しているであろうか?自分の予想は懐疑的だ。元々の音源の音が割れているのだから、どうしようもないだろう。まあ、それにしてもいずれは入手したいと考えているから、またレビューしよう。
量子力学に興味を持つ大学生が増加中・・・だが
ナノテクブームで、量子力学に興味を持つ大学生が増加中
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ナノスケールでの量子力学は理解しやすい。そのため、これまで敬遠された量子力学に興味を持つ学部学生が増えてきた。
のだそうだ。悪い傾向ではない。しかし、
従来は東大でも東京理科大でも量子力学は大学院生が学ぶものだったのに対し、
だそうだ。工学部はともかく理学部に入って、量子力学もやらないで大学を卒業してしまうものなのだ。しかも東大でさえ・・・。残念な話だ。ちなみに自分は東北大だったが、大学一年でいきなり、量子化学を教えられた。数学で偏微分もならっていないのに、いきなり2階の偏微分方程式が出てきて面食らったものだ。ほとんどの学生が理解できていなかった。しかし、意図はわかる。化学は量子化学をベースとして理論構築されている(高校の化学ですら背景には量子化学がある)ので、変に遠回りするよりも最初にやってしまったほうがよいのだ。これはちょっと極端な例だろう。しかし、量子力学くらい大学でやっておきたいものだ。不確定性原理くらいでも知っておくと、物の見方が変わるものだ。
ガチ定番:カラヤンのシュトラウス
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラ」/ティル/ドン・ファン
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック |
ちょっとネタ切れなので、昔のCDのレビューを・・・。
このリンクは最近発売のSHM-CD(高音質CD)だが、自分は通常のCD版(外盤)しか持っていない。SHM-CDは興味があるところだが、まだ買えていない。入手できたら、レビューしようと思う。
さて、演奏についてだが、このツァラトゥストラは、録音・演奏ともに、この曲の最高と言われる、まさに「ガチな」定番だ。序奏部のサウンドは、オルガンも含めてものすごい音がする。しかし、私がこのCDで一番好きな演奏は、サロメの七つのヴェールの踊りだ。カラヤンのサロメというと、ウィーンフィルとの名盤(全曲)があるのだが、七つのヴェールの踊りだけに関して見れば、私はこのベルリンフィル版をとる。サロメといえば、オーボエ・・・となるが・・・それも勿論すばらしいのだが、私はフルートのすばらしさに注目したい。このソロはただ者ではない。ちょっとツェラーっぽくないような気がする。ゴールウェイによる数少ない演奏の一つではないかと推測しているのだが、どうだろう。フルートの専門家に検証してもらいたいところだ。出だしの迫力・ラストの盛り上がりもすごい。カラヤンのシュトラウスは、彼の偉大さをまざまざと見せつけてくれる素晴らしいものだ。
崩壊するアメリカ
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書) 堤 未果 岩波書店 このアイテムの詳細を見る |
レーガン〜ブッシュ(子)までのアメリカは基本的に保守主義の時代だった。保守主義とは、アメリカの場合、小さい政府を指向する。市場の力を利用して競争によって、より良いサービスを実現していこうという考え方である。しかし、この本では、そういう考え方によって、いかにアメリカがダメになったかを厳しい現実として示している。アメリカで医療の無保険者が多いことはよく知られているが、医療費の高騰が尋常じゃない。病院に一泊すると数十万円するのだ(!)。だから、日帰りお産というのがあるそうだ。また、病気によって入院することによって「中流」家庭が破産してしまうケースが増えているのだそうだ。結局、高い保険代を払うことができる金持ちだけが十分な医療が受けられるという状況にある。貧富の差が広がる方に倒れているのだ。そして、貧困層に転落した若者は、戦争ビジネスの派遣会社によって、軍人としてではなく、民間人としてイラクに送り込まれる。そこには、自分を守る武器もなければ、負傷・死亡したときの保証もない。放射能で病気になって死ねば、現地で火葬されることにサインしなければならないのだ。
アメリカは万人にチャンスがある自由な国家ではなかったのか?今は階層が固定化し、格差が拡大している。市場を利用することによって起こっていることは、大企業による寡占である。医療も寡占により、医療費がつり上げられている。これは何かおかしい。アダム・スミスが理想とした自由の姿ではない。例えば、わかりやすいのは、アメリカはとうもろこしの輸出自由化をメキシコにのませ、国家からの補助によって安価にして大量に輸出し、メキシコの農業を破壊した。そうして、農業から追われたメキシコ人は移民となってアメリカに流入した。これは、アダム・スミスが厳に戒めたやり方ではないか。
まあ、こうなると、AIG幹部のボーナスへの風当たりが強いのも止む無しという感じであろうか。
日本にとっても全然他人事ではない。
クラリネットにおける管の選択について
オーケストラでクラリネットを吹く場合、B管・A管の二本は必須だ。場合によってはC管も必要になることがある。楽譜には(当然)どれかの調で書かれている。しかし、どの管を使うべきかというのは、必ずしも楽譜に書かれている通りである必要はなく、奏者に判断が委ねられていると考えることもできる。この問題について、(アマ・プロ関係なく)クラリネット奏者の考え方として、概ね以下の3つがある。
1.楽譜至上主義者
楽譜の指示を絶対とする考え方である。楽譜の指示通りの管で吹く。
2.結果至上主義者
楽譜の指示よりも、どの管で吹くのが、一番良い結果が得られるかを優先する考え方である。
3.その中間
曲に応じて、柔軟に選択を行う考え方である。
例えば、以前録音をupしたタコ5の3楽章のソロはA管で楽譜の指示がある。しかし、実はあのソロはB管で吹く方が吹きやすい。楽譜至上主義者ならA管で吹くが、結果至上主義者ならB管で吹くかもしれない。不滅の2楽章は、A管・B管別の指示だが、結果至上主義者ならどちらかに揃えるかもしれない。
特に選択に迷うのは、in Cの指示である。最近はC管を持っている人も多いが、C管はあまりメジャーな存在とはいえず、大体普通の人はそこまで買うお金の余裕がないだろう。
さて、自分の(狭い)経験では、プロに話を聞くと、2.に近い立場を取る人が多いように感じる。おそらく合理的に考えるのだろう。
で、私はというと、1.に近い3.というところだろうか。基本結構いい加減である。タコ5のソロは、A管のほうが、暗いイメージに近いのではないかと思い、A管を選択した。
in Cの指示は、自分は基本B管で吹く。それはC管で吹いて欲しいという指示で、A管とB管では、B管のほうが音が明るくC管に近いと思うからだ。例えば、ブラ4の3楽章はin Cの指定だが、これをどっちを選ぶかは迷う。3楽章以外は全てA管だから、B管で吹くとそのためだけに2本楽器を使わなければならない。しかも、4楽章はアタッカだから持ち替える時間がない。自分はB管で吹き、4楽章の冒頭だけB管で吹いて、休みでA管に持ち替えている。
あと、実はin Cの楽譜を、A管へ読み替えできないという情けない事情もある。例えば、モルダウの冒頭はin Cだが、本当はB管よりはA管で吹いた方が吹きやすいだろう。
大抵のin Cの指示は、B管で吹いてかまわないと思っている。例えば、第九の2楽章はin Cだが、C管を使うまでもないと考える。しかし、どうしてもC管が必要と思うケースもある。その代表はマーラーだ。巨人や第四のin Cの指示は明らかに、C管の華やかな音色を要求している。そういう時は楽器を借りてくるしかない。
C管を持っていても、2ndを吹いてくれる人も一緒にC管でなければ意味がないと思うから、あまり買おうという気にはなかなかなれない。
これからも悩むことが多いかもしれないが、これもオケのクラリネット吹きの楽しみの一つと言うことができるだろう。