戦後日本経済史
戦後日本経済史 (新潮選書) 野口 悠紀雄 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
テーマはずれついでに、ちょっと前に読んだ本のレビュー。戦後の経済成長は戦時中に作られた体制(特に官僚)が維持されたために実現したもので、戦時体制の継続といえるという考え方です。例えば、間接金融は、戦時体制の資金調達の戦時中に始まったものでそれまでは直接金融が主であった、官僚は内務省が解体された以外はほとんど戦時中の体制が維持された、等というのは全然知りませんでした。高度成長期はこの戦時体制がうまく機能したのであって、戦後白紙からスタートしたわけではない。今、その戦時体制が制度として現代にあわなくなってきており、見直しが必要である、といった話です。知らなかった事実がかなり載っていて、参考になり、おもしろい考え方であると思いました。お勧めの一冊です。
私の愛する時代
エコノミストの池田信夫さんのブログで、戦間期のウィーンというエントリがあります。この第一次世界大戦の前後の芸術が音楽でも絵画でも自分は一番好きです。時代の変わり目というか、それまで築き上げた物が壊れる境目というか、モダンな世界に入る直前で、美しいものが多いと思います。このころは時代としてはあまり良いものではなかったはずで、第一次世界大戦で戦車が初めて使われて、戦争の戦い方が変わり、悲惨な消耗戦が行われるようになり、大量殺戮に向かっていく時代です。そんな時代にすぐれた芸術や科学が生まれたというのは不思議なことであるように思います。
シェーンベルクに関する記述について、少しおかしいことがあったので、コメントで突っ込みをしたら返事がちゃんとありました。初めてだったのでちょっとうれしかったです。
さらば財務省
さらば財務省!—官僚すべてを敵にした男の告白 高橋 洋一 講談社 このアイテムの詳細を見る |
またこのブログのテーマからはずれますが、夏休み中に読んだ本です。小泉政権の一連の構造改革の実務担当者として、官僚を敵に回して、こんなにがんばったんだぞ・・・という本です。保守的な官僚と対決する読み物としてはおもしろいのですが、実施する政策(例えば小さい政府)について、それが正しいということを、あまりきちんと書いてくれていない気がします。論理的に考えるとこうなるのだ、とは書いてあるのですが、あまり突っ込んでいないので(突っ込んで書いているとそれだけで本になってしまうかもしれませんが)納得感がイマイチないです。小泉・竹中路線のバイアスがかかってるんじゃないか、と感じます。
バスクラのレッスン
大分前ですが、バスクラを購入して、一度はレッスンを受けておこうと思って、並クラの先生に紹介してもらって、某先生のところに行ってきました。細かい話を公開すると営業妨害になると思うので、全体として言われたこととしては、並クラを吹くのと変わることはない、変えてはいけない。例えば、低い音を出すときに不必要にのどをあけるようなことは良くない、ということでした。レッスンは大変参考になり、先生の音を聞かせてもらって本当のバスクラの音がどんなものかがよくわかりました。で、レッスンの最後に自分の仕掛けを見てもらったのですが、マウスピースがイマイチだねー、とかいろいろ言われました。レッスンは大久保の某楽器店でやったのですが、その楽器店で先生選定のマウスピースとリガチャー等購入してしまいました。と、すっかりお店のカモになってしまったのですが、まあ、それなりによくなったからいいか・・・と割り切ったのでした。
ウェブは資本主義を超える
ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成 池田 信夫 日経BP社 このアイテムの詳細を見る |
またまた池田本です。池田ブログで書かれたものをテーマ別に編集しなおして、一冊の本にしたもので、最近池田ブログを見始めた人には池田氏の考え方全体を知る上で便利なものかと思います。でも、ブログよりはちょっと毒が薄められている気もします。最後に書評があって、参考になりました。実はネット上には、「読んではいけない」という書評があって、これがなかなか多少毒があっておもしろいですが、本には掲載されていません。
ダンディのバスクラ
第608回定期演奏会の録音を聞くことができたので、自分が吹いたバスクラ部分をチェックしてみました。ダンディには1楽章にちょこちょこっとソロがあります。聞いたところあまり冴えない感じでした。無難な感じではありましたが、もうちょっと張りがあって、もう少し割れたような感じの音でもよいかと思いました。バスクラはちょっとくらいビリビリいったほうがオケ的には存在感があって、良いような気がします。
テンシュテットのワーグナーDVD
ワーグナー管弦楽曲集 EMI Classics このアイテムの詳細を見る |
テンシュテットというとマーラーというイメージが強いと思いますが、ワーグナーも悪くありません。CDではベルリンフィルとの組み合わせが出ていてこれは結構名演だと思いますが、このDVDはロンドンフィルとの組み合わせです。来日時のサントリーホールでのライブです。実は、ルツェルン祝祭管弦楽団のDVDボックスを買うときにHMVのマルチバイ割引のために買ったのですが、演奏は悪くありません。テンシュテットらしい堂々とした演奏だと思います。リエンチが一番良かったかな・・・。ただ、クラリネット的にはあまり魅力は感じませんでした。そんなイギリスっぽいという感じでもなく、そつなくこなしているという感じでした。
電波利権
電波利権 (新潮新書) 池田 信夫 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
このブログとちょっとテーマが異なるような気もしますが、最近、池田信夫ブログにはまっています。放送・通信業界に対する過激な(率直な)物言いで話題を呼んでいます。これといった目玉のないgooブログの中では貴重な存在です(ちなみに全然関係ありませんが、gooブログのもう1つの目玉としてカーリング本橋選手のブログがあります。是非応援してあげてください。)。
ところでこの本についてですが、池田信夫ブログを見ている人にとっては結構おなじみの内容も含まれますが、電波が非効率に使われ、既得権者が手放さないこと、田中角栄のころに今のメディアの系列化ができたこと、地デジが失敗プロジェクトであるということ、電波開放へどうしていけばよいか、等が書かれていて大変興味深いです。NHKの裏話的な話もあります。通信業界にいる自分にとっては全然他人事ではない話なので、ちゃんと考えていかなければならないのですが・・・
ルツェルン祝祭管弦楽団DVDボックス:ブルックナー・ベートーヴェン
ルツェルン祝祭管弦楽団5周年セット アバド&ルツェルン祝祭管弦楽団、ブレンデル、ポリーニ(5DVD)
ルツェルン祝祭管弦楽団DVDシリーズ最終回です。DVD3とボーナスDVDです。
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37
アルフレード・ブレンデル(ピアノ)
・ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op.58
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
ルツェルン祝祭管弦楽団
クラウディオ・アバド(指揮)
収録:2005年8月10-12日、4番、2004年8月
ルツェルン、コンサート・ホール(ライヴ)
このDVDボックスはボーナスDVDのポリーニのP協、以外は単品で発売されていました。HMVでのユーザーのコメントでは、せっかく単品で集めたのに、このポリーニのピアノのためだけで、ダブって買わなければならないではないか、みたいな記述がありました。
それで、これらの演奏が良かったどうかですが・・・
すいません。ブルックナーの7番も、ベートーヴェンも自分の趣味の問題で、あまりよくわかりませんでした。個々人のプレイはうまいのよくはわかりました。
ルツェルン祝祭管弦楽団DVDボックス:マーラー
ルツェルン祝祭管弦楽団5周年セット アバド&ルツェルン祝祭管弦楽団、ブレンデル、ポリーニ(5DVD)
ルツェルン祝祭管弦楽団DVDボックスのレビューの第二段。マーラーです。DVD2とDVD4です。
・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
・マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
ルツェルン祝祭管弦楽団
クラウディオ・アバド(指揮)
収録:5番、2004年8月18、19日 6番、2006年8月10、11日
ルツェルン、コンサート・ホール(ライヴ)
私はマーラーはテンシュテットの演奏が好きなので(ただし、4番はアバド、大地の歌はクレンペラー)、ちょっと物足りない気がします。もっと一音一音に魂をこめてほしいです。ですが、テンシュテット的なのが、大げさでうざい、という人にはお勧めします。うまいし、きれいで歌もあると思います。あとDVDなのでベルアップとか、ハンマーとかいろいろ見れてそういった楽しみ方もあります。悲劇的の2楽章と3楽章がひっくり返っている気がします・・・。悲劇的の3楽章のクラリネットには高音のちょっといやなソロがありますが(でも感動的な場面)、ザビーネ・マイヤーはとても上手にこなしていました。