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book review:「予告された殺人の記録」

G. ガルシア=マルケス
新潮社
発売日:1997-11

なぜ、彼は予告されていたのに惨殺されてしまったのか・・という話。最初は状況がよくわからないで、もどかしい感じがあるが、徐々に明らかになってきておもしろくなってくる。この辺は上手だと思うが、ややテクニックに頼っているような印象も受ける。

しかし、読後感はあまりすっきりしない。花嫁が以前通じた相手は本当に被害者だったのか、ということは曖昧にされているし、「人の名誉のための殺人は肯定されるのか?」というテーマが含まれていて、倫理的な検討をするのかと思わせるが、結局あまりされない。

この本を読んだ多くの人は、実在の事件に基づいているということに感心をもったようだが、それは覗き的な見方というもので、純粋にこの文学を受容している態度ではない。よく出来ている作品だが、やや消化不良だった。


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