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フォークナーを読む

フォークナー短編集 (新潮文庫)

フォークナー

新潮社


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フォークナーは20世紀前半アメリカのノーベル賞作家である。彼が描いたアメリカは、南北戦争後の南部である。南部の退廃した生活や暴力的犯罪や独特の風俗を描いており、アメリカを知る上でも興味深い。とりあえず、読みやすい短編を読んでみたが、おもしろい。驚くような習俗(主人への奴隷の殉死とか)もあるが、プライドが高く、ちょっと偏狭な独特な南部人を上手に描いている。南北戦争の傷跡も感じられる。長編もそのうち読んでみようと思う。

プーランク「2つのクラリネットのためのソナタ」より

先日の演奏からの抜粋である。2楽章の最初の主題の提示である。外に出せるのはこれくらいしかない。この後、オクターブ高い動きになるが、ピッチがぶら下がっている。本当は、1楽章と3楽章が特徴があっておもしろいのだが、難しいし、2ndパートが目立つので出せない(無許可だから)。
この曲は、B管とA管のDuoという非常に珍しいもので、その特徴の違いを上手く生かした貴重なレパートリーである。

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

ピエール・バイヤール

筑摩書房


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本を語るには本を読んではいけない・・・という逆説がテーマの本。この皮肉な感じがフランス人っぽい。しかし、この本は読書の本質を伝えてくれるものだ。まず、単純な事実として、我々は読みたい本をすべて読むことはできない。本の量は膨大だ。また、本を読んだ、という事実はあやういところがある。本の内容はどんどん忘却してしまうし、人により読み方により吸収できることは様々だ。著者は、過去の様々な例(漱石もある)を引いて、本を読むこと自体よりも、読者の内面世界の進化こそが大事であり、「本は完読しなければならない」等のタブーから自由になるべき、と説いている。世界的なベストセラーで、興味深い本だ。

演奏会振り返り:ロビーコンサート

ロビーコンサートでは、
プーランク「2本のクラリネットのためのソナタ」
イベール「5つの小品」
の2曲を取り上げた。全体の反省としては、聴いた人にも言われたけれど、両方ともちょっと曲が難しかった。難しいとどうしても多少のミスは出てしまう。聴いている人は難しいかはどうでもよいけどミスはわかってしまうから難曲は(かなり自信がないと)不利だ。
Duoのほうはちょっと観客を驚かせようという気持ちもあったけれども、不発だった・・・。Trioは、この編成(Ob・Cl・Fg)では手頃な曲がない。これより易しいとなると、ミヨーの「コレットの小品」くらいだが、それでも結構難しい。
自分の全体のテーマとしては、「弱音をうまく使おう」ということを考えた。以前、弱音戦略について書いたけれども、小さい音をきちんと吹き分けると、大きな音が出なくても彫りの深い演奏をすることができる。音の終わりの処理にも気をつけた。録音を聴く限りでは、これは大体思ったとおりに出来た。
プーランクはB管パート(=上)だった。あれには結構嫌なパッセージがある。案の定へろへろになってしまったが、あれが自分の実力だ。自分はメカニック的には弱いと思う。
イベールでは発音の悪さがやや気になった。リコーのリードにまだちょっと慣れないというか、でもこれくらいが限界な気もする・・・。
音色は自分にしては若干荒いところもあったが、まあまあだったように思う。音程は結構安定していた。

NHK出演・・・

NHKニュース 開講150周年コンサート
演奏会にNHKが取材に来るというのは聞いていて、打ち上げのときにワンセグで盛り上がっていたけれど、あまり感心がなかったので見ていなかった。しかし、演奏会が終わってみたら、「見たよ」という結構な反響があった。ちょっとググってみたらニュースが見つかった。見てびっくりで、結構でかく写っている。横浜市歌と黒船が写ったのだけれど、自分は両方ともバスクラリネットで、中央近くにいたのがラッキーだったらしい。
NHKに出るなんて多分もう一生ないだろうから貴重な記録だ・・・

PGConが終わってた&8.4βについて

ひさびさにデータベースな話題。PostgreSQL ConferenceのCFP(presentation)が出てたから、そういえば、PGcon2009はどうなっているのかと思ったら、5/22に終わっていた。最近、いかにちゃんとフォローしていないか、ということだ。

その発表の中に、8.4βと8.3との性能比較のレポートがあった。数%の差で、あまり劇的には性能は向上していないようだ。8.3で大きな性能改善は一段落してしまったのだろうか。

第615回横響定演終了

演奏会は終了しました。雨の中800人という神奈川県音楽堂ほぼ満席の入りとなりまして、大変ありがとうございました。
ロビーコンサートは、事前の周知があまりなかったので、人があまり集まらなかったのですが、2曲の難曲(プーランク・イベール)を何とか通してやることができました。練習より良かった点・悪かった点いろいろありましたが、まあ、あれが自分の実力です。こんなものでしょう・・・
オーケストラのほうは、カルメンの1stが一番出番が多かったです。ソロ録音をupしようかと思っていましたが、途中でメモリーフルになってしまって・・・ちょっと時間がかかりそうです。出来はまあまあだったと思います。今回初めてリコーのリードを使ったのですが、やはり若干発音が甘くなる感じで、いくつか気になるところがありました。
次回は田園等ですが、自分は軽めの出番にするつもりです。

リコーで初の本番

今日は本番なのですが、あいにくの雨で・・・客足が鈍りそう。
リコーで初というか、クラリネット始めて以来、ヴァンドレン以外では本番に乗ったことがないのですが、今回は初めてリコーを本番で試してみます。
Evolutionの3番です。これしか吹けませんでした。最近、V12 3+1/2にどうも合わせられなくなってきて、苦渋の選択です。印象としては、
・まあ使えないことはない
・音はちょっと密度が薄くなるが、広がる感じで、好みは分かれるだろうが、まあ許容範囲
・何となく振動する面積が広いようで、発音がすっきりいかない。ちょっと遅れて音が出る感じなので、始動をやや早くする必要がある
・一箱内で使える率はわりと高い
という感じですかね。音はまあこういうのもありかなと最近思えるようになってきました。
果たして今日うまくいくのでしょうか・・・

予言者としてのトクヴィル

アメリカのデモクラシー〈第1巻(下)〉 (岩波文庫)

トクヴィル

岩波書店


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「アメリカのデモクラシー」第一巻の下を読んだ。これは第二部で、一通り完結ということになる。第二巻(上下)は次に読んでみようと思う。第一部は三権の体制論が主だったが、第二部は民主制についてで、本論という感じである。簡潔であることに感心する。多少の冗長はあるが、一つの主張をするのに大きな紙面を割かない。また、語り口が絶妙だ。主張が正しいかどうかおいておいても、かっこいい。多く引用される理由はわかる。ずばずば切っていく感じだ。我々は民主制が当たり前のように思っているけれども、トクヴィルが生きた、むしろ民主制は特殊で、君主制や貴族政治が強い影響力を持っていた時代に民主制をどうみるか、というのは、今の時代からみると(逆に)新鮮だ。

さて、この本は予言の書としても知られている。一番有名なのは、将来アメリカとロシアが世界を二分するであろうという記述である。少し長いが引用してみよう。

アメリカ人は自然がおいた障害と闘い、ロシア人は人間と戦う。一方は荒野と野蛮に挑み、他方はあらゆる武器を備えた文明と争う。それゆえ、アメリカ人の征服は農夫の鋤でなされ、ロシア人は兵士の剣で行われる。
目的の達成のために、前者は私人の利害に訴え、個人が力を揮い、理性を働かせるのに任せ、指令はしない。
後者は、いわば社会の全権を一人の男に集中させる。
一方の主な行動手段は自由であり、他方のそれは隷従である。
両者の出発点は異なり、たどる道筋も分かれる。にもかかわらず、どちらも神の隠された計画に召されて、いつの日か世界の半分の運命を手中に収めることになるように思われる。

これが南北戦争以前に書かれたのだから、すごい洞察だろう。もしトクヴィルが現代のアメリカの姿を見ていたらどう思うか・・・非常に興味があるし、彼が見ることができなかったのが本当に悔やまれる。

一方、南北戦争については、彼は予言していないと言えそうだ。奴隷制度については、自由な労働者よりも生産性が低く、南に追いやられる傾向を指摘している。そして、南部において黒人と白人が衝突する可能性を予測している。しかし、実際にはそうならず、北部と南部が深刻な対立関係となり、アメリカ史上最も多くの血が流れた壮絶な戦いが始まるのである。そのとき、自由は一時忘れられ、北部はリンカーンの独裁体制になる。トクヴィルは、アメリカは独立以来深刻な危機に遭遇していないが、一旦自分達に危機が訪れれば、容易に民主制を捨て、強力な指導者を求めるであろう、という考察をしているが、それは南北戦争において最初に起きたのである。

たまにSF:犬は勘定に入れません

犬は勘定に入れません 下—あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (ハヤカワ文庫 SF)

コニー・ウィリス

早川書房


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最近ちょっとネタ切れなので、軽めの本を・・・

自分はミステリーやSFをほとんど読まない。基本的には娯楽的な本よりも実用的な本を選ぶ。しかし、最近はちょっとその手の本を読み始めている。先日は、重力ピエロを読んだ。あわせて映画も見に行った。原作の出来は悪くないと思ったけど、映画はややイマイチだった(高校と大学の母校が撮影で使われていた)。で、今回はSFである。イギリス古風趣味のコミカルなタイムスリップものだ。時々、受け狙いな感じが多少うざい気もするが、でもおもしろい。文庫で二冊に分かれているが、前半はほとんど19世紀が舞台で大きな展開がないが、それでも結構読ませる。後半の途中から急展開して終結へ向かう。ぼーっと読んでいたらあれあれという間に終わってしまった。SF的な仕掛けはあったが、あまり味わえなかった。それは著者の責任ではなくて、自分の責任である。もう一回ちゃんと読んでみたほうがよいかも。しかし、非常に都合良くタイムスリップできる感じ(同一時間に二人自分が存在できない制約はある)は、まあ許容できる範囲ではあったが、うーん、どうかな〜という感覚はある。過去に行っていろいろやって、また現代に戻って、また過去に行って都合よく前の過去のちょっと後に出てきて・・・となると、現実はどれ?というか、時間の流れが幾つあるのかわからないというか、そういう疑問を抱く(時間軸に連続な濃度を持った重層的な世界があるってイメージなのかしら)。SF好きから見れば、こだわりのある所ではないかと思われるが、自分にはちょっとわからなかった。

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