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Gelfand氏死去
20世紀を代表する数学者の一人であるGelfand氏が死去されたそうです。96歳でした。Gelfandは、関数解析・超関数、等の輝かしい成果を残されています。ご冥福をお祈りいたします。
Israil Moiseevich Gelfand, one of the most influential mathematicians of the 20th century, died October 5 at the age of 96. He was the author of more than 800 articles and 30 books in many areas of mathematics–including commutative normed rings, representation theory, generalized functions, and partial differential equations–and in theoretical biology. Gelfand was born in the Ukraine and received his Ph.D. in 1935 from Moscow State University under the direction of Andrei Kolmogorov. Five years later he received his D. [From News 2009]
数学者:C. Fefferman
ひさびさに数学の話題。Terence Taoのブログで知ったが、20世紀解析学の巨人Charles Feffermanの60歳記念の国際会議が開かれているそうだ(2009年5月4日〜8日)。彼の業績については、Steinが講演する。そのプレゼンのpdfがupされている。正直、まだ60歳だったんだという感じだ。彼が、H1-BMO dualityの論文を書いたのは確か1972年くらい・・・とすると23歳のときだ。如何に優秀であったか分かる(まあ数学には早熟な天才は多いが)。自分が数学を勉強していた1980年代も彼の影響は絶大で、その手法は多少計算力に頼って泥臭いが、Real variable methodとしていろいろな応用に向けて利用されていた。H1-BMO dualityとか感動したものだ(自分はその多変数への応用を研究していた)。彼らの仕事というのは、現在のwavelet理論にも生かされている。偉大な数学者である。
金融危機と金融工学
自分の専門は数学だったのですが、大学卒業時にバブル絶頂だったので、多くの卒業生が金融系とくに保険会社に進みました。保険では保険数学と呼ばれる分野があって、保険商品が損をしないように設計する仕事があります。アクチュアリと呼ばれる資格をとるために、皆勉強していました。証券に行く人はまだあまり多くはありませんでした。
同じころから、アメリカでは金融工学が立ち上がります。金融工学は金融商品のリスクとリターンの関係を計算する手法で、確率微分方程式という数学を使います。確率微分方程式は、日本の伊藤清という数学者が発明したもので、日本発の画期的な技術として、大変重要な仕事であって、しかも実世界への応用がなされるようになって、その意義が見直されました。金融工学によりリスクを定量化できるようになって、様々な金融商品の開発が可能になりました。これは数学的にもおもしろいもので、自分も証券会社に行っとけばよかったかな~(給料も断然いいし)。と思っていました。
しかし、金融危機の犯人の1つに、複雑になりすぎた金融工学があげられています。また、金融工学には、リスク(だったかな?ちょっと不確か)の分布を、正規分布と仮定するという単純化がされているので、その有効性に対する批判が以前からありました。
リスクを定量化するというのは画期的なことで、これからも利用されるとは思いますが、現在の状況からすると、今後は金融工学には一定の見直しが行われ、金融工学を専門とする数学担当もその地位があやうくなるかもしれません。ものすごくおもしろかった時代から急に戦犯扱いとなっています。非常に複雑な思いです。
本: 不等式
引用文献では見たことがあるものの、原書(日本語訳だけど)を見たのははじめてだった。最近古い本の復刻版が多くでてきているけど、そのうちの一つ。誰が買うのかな〜、と思いつつ購入。きっと名著だと思うのだけど、今はちょっと読めない・・・。不等式を使う泥臭い解析学の原点。最近(といってももう10年くらい前か)は結構こうした泥臭い解析学も復興したらしい・・・と聞いたことがあるような。泥臭くない手法が限界に達したのか・・・。
Amazon.co.jp: 本: 不等式
不等式 シュプリンガー数学クラシックス
G.H. ハーディ (著), G. ポーヤ (著), J.E. リトルウッド (著),
フーリエ解析と関数解析学
久々(3ヶ月ぶり)の書き込み。
(多分)数学系大学3年程度を対象に書かれた本。テーマを固有関数展開を利用した解析という点に絞り、上手にトピックを選択することにより、非常に読みやすくおもしろい本になっています。
自分の学生のころはこういう本はなかったので、今の人はうらやましい。これをよんで解析学を志す人はいるのではないだろうか。あくまで純粋数学のおもしろさを語るというスタンスに立っているところが良いと思う。一般的には、「数学的だがその意図がわかりづらい」本と、「応用には役立つけど純粋数学的にはいまひとつおもしろくない」本にわかれることが多いので、こういう本は貴重。
Amazon.co.jp: 本: フーリエ解析と関数解析学
フーリエ解析と関数解析学 数学レクチャーノート 基礎編
新井 仁之 (著)
解析入門〈2〉 小平 邦彦
復刻されて手に入れやすくなったので買ってみました.学生時代は読んでいなかった・・・こんな本も読んでなかっただなーと反省.ぱらぱらと見てみましたが,非常に丁寧に書かれている.論証をきちんと追っていてわかりやすく,解析概論(高木貞治)とは対照的かもしれない.積分ってこんなに面倒くさかったんだなー・・・微分積分はきちんとやるとそれなりにやっかいなんだな,昔わからなかったのもある程度仕方ないのかな・・・という気もしました.新しいことがなかなか出てこないのに,細かい論証が多いから嫌になりやすいのですよね.でも今見ると現代的な数学の基礎が含まれていて,きちんとやることが大切なのだな・・と思えます.
Amazon.co.jp: 本: 解析入門〈2〉
解析入門〈2〉 小平 邦彦 (著)
本:フーリエ解析学
講座数学の考え方(17) フーリエ解析学
新井 仁之
夏休みで久々に数学本購入.かなりわかりやすくおもしろいです.
だいたい数学科4年〜修士1年あたりを想定されて書かれた本だと思います.
多重フーリエ解析とその応用等がテーマですが,前半は「離散形で」フーリエ解析や超関数(超配列)を解説しています.数学の専門書では,もっと一般的な形で書かれることが多いので,珍しいと思います.具体例を,画像処理の例からとっていることもあり,大変わかりやすくなっています.多変数のフーリエ解析の応用として,多次元線形時普遍システムの安定性との関係が述べられており,この一冊で数学・解析学の豊かさが体感できるような配慮がされていると感じました.
私と数学
以前,ホームページに載っていた数学ネタを整理のためにこちらに再投稿・・・
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私が大学時代に専攻していたのは,実解析学という数学です(海外では調和解析と呼ばれることが多い).実解析学は,元々の起源はフーリエ解析にありますが,20世紀半ばに現れたCalderon-Zygmund理論などによって発展して現代に至っています.最近は特にWavelet理論が脚光を浴びています.私が大学院時代はまだWaveletという言葉はありませんでしたが,似たようなテクニックは実解析学の中で使われていたと思います.
実解析学に関連したサイト
新井先生のホームページ
東京大学の新井仁之先生のホームページ.著書の「フーリエ解析と関数解析学」は実解析入門としてすばらしい本です.
Waveletに関連したサイト
Wavelets Digest
月間のWavelet関連情報のメールによるニュース配信(内容は研究的)
Wavelet Resources
MathSoft社によるWaveletsに関するPreprintなどの情報