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小説「ノルウェーの森」
映画を見て興味を持ったノルウェーの森を読んでみた。自分はおもしろいと思った。映画で感じたような不可解さはなく、賛否両論ある部分もあるとは思うが、ちゃんとした小説だった。映画は原作から逸脱しないようにしていることがわかったが、大事な部分が抜けているような気がする。
映画の最大の問題は、「レイコさん」をちゃんと描けていないことではなかろうか。原作では、非常に重要な人物なのに、映画ではかなり描写が省略されている。だから、例えば、ラストのくだりがとても不自然に感じる(原作でも微妙だとは思うが)。
映画がDVD化されたら、もう一度ちゃんと確認してみよう。疑問点が多少解決するかもしれない。あれをまた全部見るのかと思うと少しつらい気もしないでもないけど。
キャッチャー・イン・ザ・ライ
この村上訳で初めて読んだ。文章はいかにも村上春樹という感じで、鬱陶しいと最初思うけれども、段々と慣れてきて、これはこれで雰囲気とあっていると思うようになる。作品には感動した。しかし、これはいろいろな解釈ができるだろう。単純に青春って素晴らしいみたいにはならない。主人公は純粋らしくも見えるが、未熟にも見える。その単純には割り切れないところが、傑作たる所以なのかもしれない。一般的なタイトルである、「ライ麦畑でつかまえて」は良くない訳だと思った。村上春樹がこのタイトルをつけたのは理解できる。
帰ってきたオシム(book review:「考えよ!」)
オシム元監督は脳梗塞で倒れて、日本サッカー代表監督を続けられなくなったが、不幸中の幸いで脳にはダメージがなく、監督業は無理としても、リハビリを続けながらサッカーに関わる仕事を再開している。この本は4月に出版された彼の最新の著書であり、南アフリカワールドカップの展望や、日本代表への提言等の最新の話題が彼自身の言葉によって語られており、とても興味深い。彼は監督をやめてからも、日本サッカーについての関心を失っておらず、中村(俊)vs本田や、日本のFwについて等、我々が興味ある話題に答えている。サッカーにおける「dicipline」の重要性を強く説いている。ひらめきや思いつきではなく、ルール・規律・秩序を持ってサッカーするという考え方だ。自分はサッカーには詳しくないので、彼が言うことが、どの程度一般的で、どの程度オリジナルであるかが、あまりわからないのだが、サッカー好きにも、そうでない人にも勧められる好著だと思う。あっという間に読み終わってしまうけど・・・
カフカ「城」
変身と並ぶカフカの代表作。城に呼ばれた「測量士」が、城に行こうとするが、いろいろな障害(?)にぶつかり近づくことができない。という状態が延々と続く、という未完の作品である。城は一種の官僚機構のように解釈されるときもあるが、確かにそういう感じはする。最初は珍しくておもしろいと思うが、文庫本で600ページあるからだんだんと飽きてくる。しかし、ストイックなまでに、この主人公と他の登場人物との間のダブルボケのようなやりとりが続く。読者のカタルシスを一切否定する。不思議な作品である。